まさかの2人きり!?思いを伝えるなら今でしょ!!

大人びた印象

大学生の私から見れば、バイト先の店長というのはすごく大人びた印象があります。
年の差はそれほど大きくはないのですが、やはり仕事上は上司と部下なので、まるで何十歳も年が離れているような感覚になってしまうほどでした。
私がそう思っているということはきっと相手は私のことを子どもとしか見ていないでしょうから、私のこの恋心はただの片思いでしかないとひっそり彼を思い続けていました。
そんなある日ラストまで勤務していたバイトは私1人で、あとは店長がいるという2人きりの状態でした。
閉店後だったのでお客さんがいるわけではありませんし、この空間の中で2人きりというのは妙に緊張しました。
しかし仕事中であることにかわりはないので私から何か声をかけてもいいのかどうか悩んでいると、店長の方から話をかけてくれました。
もちろん最初は仕事の話だったのですが、それから徐々に趣味や学校のことなどプライベートな話になり、いつの間にか会話がはずんでいました。
そんな空間に居心地の良さを感じた私は、この流れならいけるかもしれないと思い恋愛の話を持ち込みました。

「結婚しないんですか?」

「店長は結婚しないんですか?」と尋ねると、苦笑いを浮かべた彼は「いい人がいればね」と答えました。
未婚なのは知っていましたが彼女がいるかどうかまでは知らなかったので、これでフリーだということが確定しました。
これは告白のチャンスなのではないかと思ったのですが、なかなか勇気が出ず黙り込んでいると、店長の方から「言いたいことがあれば言いなよ」と言ってきたので、私は勇気を振り絞って「いい人なら目の前にいますよ」と言いました。
その時の私はきっと茹蛸のように顔が真っ赤になっていたことでしょう。
薄暗い店内のおかげではっきりと私の顔色までは見えていないことを願いました。
驚いた様子の彼は「子どもが何言ってんの」と笑い飛ばしてきたので私は「ダメだったんだ」と思い「冗談ですよ」と笑い返しました。
失恋確定だと思っていたのですが、その後に彼が「冗談じゃなくて本気だったら付き合ってやる」と言ってきたのに私は驚きました。
まるで少女マンガの主人公にでもなったかのような感覚を抱き、私は恥ずかしさよりも嬉しさが勝って大きな声で返事をしました。
これが私と彼が付き合うことになったきっかけです。
職場が同じなので周りに悟られないようにするスリルも楽しかったのですが、上司と部下という関係がなんだかくすぐったく感じられるようになりました。